不登校は学校だけでは解決しない!

不登校
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不登校は、学校だけでは解決しない!

残念ですが、これは断言できます。それは、学校現場を知っているからです。

今日は、「なぜ不登校は学校だけでは解決しないのか」をお伝えしたいと思います。読む前に誤解しないでほしいことは、けっして学校を批難しようとしているわけではありません。

実際に、学校現場にいたものとして、不登校を学校だけで解決するのには、今の状況ではむずかしいと実感した理由をお伝えします。

今、不登校のお子さんがいて「学校は何にも対応してくれない…」とがっかりしている方、学校の対応に不信感を抱いている方がいらっしゃったら、少し参考になるのではないかと思います。

不登校は学校だけでは解決しないわけ① 個別にサポートが必要な子が圧倒的に増えている

わたしが、新卒のころと今では、本当に子どもたちの様子も先生たちの様子も、そして学校自体も大きく変わりました。

特に、子どもたちの変化は、年々刻々と変化。個々にサポートが必要な子が増え続けています。これは、けっして個別なサポートが必要なお子さんがいることが悪いといっているのではありません。時代とともに、子どもたちも変化しているということ。

20年前は個別にサポートが必要な子が少なかったため、一斉授業や一斉指導が成り立っていたのですが、今では各クラスに複数名。そのサポート内容も、学習面だったり生活面だったり、情緒面だったりと一人ひとり違います。つまり、一斉授業や一斉指導が担任一人ではむずかしい状況であるということです。

わたしが今まで勤めていた学校での経験になってしまいますが、個々のサポートに必要な補助の先生がいる場合といない場合とがありました。神奈川県の場合、市によって大きく違います。

不登校の子どもたちも、個々のサポートが必要な子の一人といえますが、実際、毎日の学校生活の中で、30人以上の子どもたち(40人近いことも)とかかわっていくので、一人ひとりの子どもたちにかかわる時間は、本当に限られています。

さらに、授業中のサポート、休み時間トラブルの解決、給食指導、そうじ指導、落とし物探し、けんかの仲裁、具合が悪い子の対応などなど、受け持ったクラスの子どもたちの対応に追われている…というのが、現実です。

わたしも、いち保護者なので「自分の子どものことをもう少し見てもらいたいなぁ…」と感じることもありますが、「クラスのほかの子どもたちのことで、先生も大変なのかも…」とあきらめることも。

個別なサポートが必要なお子さんが明らかに増えているのに、クラスの人数は変わらず、さらに、サポートする大人の数がまったく確保できていないということが、大きな問題だといえます。

不登校は学校だけでは解決しないわけ② そもそも教員が不足しすぎている

個々のお子さんへのサポートの話でもあげましたが、学校現場は本当に人手不足です。

わたしが初任のころは、専科の先生がたくさんいて、高学年を受け持つと、専科の先生の授業時間を教材を作ったり、テストの採点をしたりして活用することができました。そのため、時間的余裕が今よりもあったように感じます。

でも、今の学校はまったく違います。専科の先生が確保できず減り、唯一の専科の授業に「これをやるぞ!」と思っていると、ほかのクラスへのヘルプがきたり、お休みの先生のクラスに代わりに入ったり…ということがたびたび。

ぎりぎりの人員(欠員も多くあります)でまわしているから、カツカツなのです…。個々のサポートの先生を入れる…なんて、夢のまた夢のような状況です。これも、市によって違いがあるとは思いますが、人手不足であることは、どこの市でも共通だと思います。

先生に余裕がまったくない。心の余裕は、子どもたちへの対応にも影響します。

担任以外で、不登校の子どもたちに本来かかわるはずの先生が不在だったり、担任の先生も余裕がないといった状況がおこります。

不登校は学校だけでは解決しないわけ③ 子どもにかかわる仕事以外が異常に多い

学校をやめてみて感じることのひとつに、保護者の中で「先生は、子どもがいる時間だけ仕事をしていて、放課後はお茶とか飲んで休憩しているんでしょ」というイメージがけっこう強いこと。

そんな時代があったらしいですが、今はまったく違います。

子どもたちがいる間も、たたかいのようですが、子どもたちが帰ったあとは、第二ラウンドがはじまります。会議や打ち合わせが毎日のようにあったり、その日のノートチェック、提出物のチェック、子どもたちの様子で気になることを学年でシェアしたり…あっという間に定時になります。

定時に帰っているのは、保育園のお迎えがあるなどのごく一部の先生たち。わたしも、保育園にあずけて働いていたころは、定時に急いで帰っていました。ただ、定時に帰れば仕事も持ち帰ることになり、家で仕事をしなくてはならない仕事量。残業ができない分、夜遅くに仕事をしたり、休日仕事をしたりする日々でした。

先生の事務作業を手伝う制度があるという話も聞きますが、実際にわたしがいた学校では、すべて担任が行っていました。テストの採点や点数の入力作業などもすべて担任。子どもから集めた集金の確認や業者への支払いも担任の仕事でした。

この子どもたちと直接かかわりあいがないように思える仕事が、けっこう多い!放課後、不登校の子のおうちに「ちょっと遊ぼうか」と行きたくても行けない状況が考えられます。

教員の多忙化は、ずっといわれていますが、解決するどころか、さらに多忙になっているような気がします…。

不登校は学校だけでは解決しないわけ④ まだまだ「チーム」としての支援体制が乏しい

不登校だけではなく、個々のサポートが必要なお子さんには、チームで対応することが大切です。担任一人が抱え込んだり、一人ですべての対応をしようとしたりすると、結果、状況が悪くなってしまうこともあります。もちろん、すごい能力をもっている方で、一人で対応できるスーパー先生もいるかもしれませんが…。

経験上チームで対応した方が、解決したり、状況を改善したりすることの近道になっていました。

ただ、担任が一人で抱え込まない「チーム」で対応という考え方、まだまだ教育現場では浸透していないような気もします。また、学級王国という言葉がありますが、「自分のクラスのことは、自分でなんとかする!」というタイプの先生も少なからず存在します。

また、経験がある先生でも、不登校の子どもたちに接する機会が少ない先生が一人で対応しようとすると、なかなかむずかしい現実もあります。「不登校」とひとくくりで考えがちですが、ひとりひとり「不登校」になった経緯や心理状況、学校に対する思いなどはまったく異なります。自分の経験値だけで対応できる状況ではないのです。

そこで、大事になるのが、一人で対応するのではなく、チームで対応するということ。

担任、学年、保健の先生やスクールカウンセラー、児童支援担当の先生など「チーム」で手だてを考え、実践し、振り返りをしながら、改善していく。誰がどんな役割でかかわっていくのかを分担する。そうすることで、担任一人が対応するのではなく、複数の先生で対応することが可能になります。

つまり、担任が対応するのではなく、学校としてチームで対応していくということになります。保護者からしても、今までは担任だけが窓口となっていた体制と比べると、相談できそうな先生やカウンセラーに直接相談できるというメリットもできます。

誰が相談を受けても、それをチームで共有するため、保護者の負担も少なくてすむ。(これが、学校内で共有できていない状況だと、相談するたびに説明し、人によって支援策が違って悩む…という事態が生じることもあります)

このチーム体制ができている学校とできていない学校があることが、問題です。どの学校でも、チームで対応する体制がつくられると、ずいぶんと変化していくのではにないかと思います。

複数担任制になれば、少し改善するような気もしますが、教員不足の現状を見ると、まだまだむずかしそうですね。

不登校は学校だけでは解決しないわけ⑤ 若い先生を育てる環境が整っていない

今の学校の先生たちの年齢層を知っていますか?

若い先生がとても多い。それから、年配の先生たち(定年後も現役で働く先生たち)も多い。一方、中間層が少ない。

年配の先生たちは、時間数が限られて働いていたりします。また、元校長先生だったりすると、簡単に相談にしくいという声もあります。本来なら、中間層(40~50代)の先生たちが若い先生を育てていく役割を担うところですが、とにかく中間層の人数が少ない!

若い先生たちを時間をかけて育てていく余裕がないというのが、現実です。研修はありますが、忙しい中での研修は、実になるものとはいかないように感じます。

若い先生たちは、悩んでいることをじっくり相談したり、授業について研究したり、という時間がなかなかとれていません。また、学校全体の多忙化で、気軽に相談できずに悩んでいたり、クラスの子どもたちとの関係がうまく築けずに苦しんでいたり、という若い先生も実は多いです。

教員不足が解消できれば、新卒の先生や経験のない先生たちは、一年目は副担任みたいな形でつくのがいいのではないかと、ずっと思っていました。

一年間、経験のある先生について学ぶことで、子どもたちへのかかわり方や授業の進め方、事務作業などを実践しながら身につけることができるのではないかと思います。担任が二人いることで、個々のサポートが必要な子にもかかわる時間が増え、不登校の子どもたちとかかわる時間もできるではないでしょうか。

ただ、これを実現するには、どうしても教員不足を解消しなくてはなりません。

今こそ、学校のシステムが変わるとき!でも、できることもある

不登校は学校だけでは解決しないわけをお伝えしてきました。

とはいえ、子どもたちにとっては、一生に一度の小学校生活。学校が大変、先生が忙しいというのは、言い訳でしかないと感じられている方もいらっしゃると思います。

その通りです!

どんなに多忙でも、どんなに心の余裕がなくても、それでも目の前の子どもたちにとっては、かけがえのない時間なのです。

先生のかかわり方ひとつで、子どもが変わることがあります。学校の対応の仕方で、気持ちが学校に向いた子どもたちもいます。

できないことを嘆いていては何も変わらない。できることを、できる限りやってみる。やってみて、うまくいかなければ、改善して、再びチェレンジしてみる。

それが大事なのだと思います。

わたしは、今まで学校側の人間でした。その中で「できない」ことをたくさん経験し、できることをできる限り実践してきたつもりです。それでも、限界を感じました。

今は、学校の外の人間です。学校の中でも、身を粉にして目の前の子どもたちのために、全力で働いている先生たちがいることも知っています。いち保護者として、学校への不信感を募らせる親の気持ちも理解できます。

今の学校にはできないけれど、わたしにできること。

それを少しずつ形にしていけたらと願っています。

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