子どもたちの学び場所の代表格といえば…「学校」。
でも、年々学校に通えない子どもたちが増え続けていて、最近では「ホームスクール」といって家庭で学ぶスタイルを選ぶこともあるようです。
子どもが「学校に行きたくない」「学校にいけない」状況になったとき、はじめて考える「子どもの学ぶ場所」。実は、思っている以上に学ぶ場所の選択肢が少ないことを実感しています。
今日は「子どもの学ぶ場所ってどんなところがあるのか」について、課題点なども合わせてシェアしていきたいと思っています。
学ぶ場所は「学校」だけではないこと、選択肢のひとつとしていろいろな可能性を考える参考にしていただけたら、うれしいです。
子どもの学ぶ場所① 学校
世界には、学校に行きたくてもいけない子どもたちがたくさんいます。「学校で教育を受けることができる」という環境は、世界的に見たら、とても恵まれているもの。
とはいえ、その学校が抱えている課題はたくさんあります。
学校といっても、公立・私立によっても、ずいぶんと違います。私立の中には、インターナショナルスクールも含まれます。その学校の特性によって選ぶことできるのが、私立学校のメリットでもあります。ただ、費用がかかる点はデメリット。
一方、公立学校は、基本的には学区があり、自分の家から近い学校に通うことが多いですね。最近では、小中一貫校であったり、学区をこえた通学を許可する制度もあったりし、少し学区制は崩れつつあります…。それでも、基本は地域の学校に通う。
地域の中で育つ、いろいろなかかわりの中で育つ、放課後を友だちと過ごすというメリットがある一方、いろいろな子どもたちが混在するため、そこに適応できないと苦しい環境にもなってしまいます。
先生たちも、数年ごとに入れ替わり、校長先生が変わると学校の雰囲気も変わることもしばしば。教員の質も変わります。
それぞれ一長一短ですが、経済的な理由で公立学校しか選択肢がないという家庭も多いのではないでしょうか。
子どもが学ぶ場所② オンラインスクール
通学しなくても、オンラインで学びを深めることができる学校も登場しています。一般的な通信教材とは違い、オンラインで人とつながる機会が得られることがメリットです。子どもたちの学びは、学習面だけでなく、人とのかかわりやつながりなどから学ぶこともたくさんあります。
そういった面では、オンラインスクールは、今までのタブレット型や紙材の通信教育では足りない部分を補うことができるといえます。
ただ、オンラインはあくまで距離があります。コロナ禍になり、子どもたちは人と距離を取らざるを得なくなっていますが、本当は人とくっつきたい時期。人と触れ合うことで学ぶことも多くあるはずです。それが、コロナ禍になり、オンライン化が進み、オンラインスクールが登場。いい面もありますが、子どもの成長という視点から見ると、オンラインだけに頼ることには、少し心配もあります。
オンラインスクールを選ぶのであれば、オンライン以外の体験活動や、実際に外に出る活動などもうまく取り入れることで、子どもの学ぶはより深まるのではないかと思います。
子どもが学ぶ場所③ 塾・家庭教師
学習面の遅れを心配しているようでしたら、塾や家庭教師も選択肢のひとつです。どうしても、親が勉強を教えることには、限界があります。甘えが出たり、教え方がわからなかったり…。
塾も家庭教師も、学習面がメインになりますが、家以外の居場所をつくるということではメリットがあります。いやいや通うのではなく、本人が楽しく通えるようなら、塾もあり。塾での新しい友だちができたり、信頼できる先生に出会ったりできれば、世界が広がるかもしれません。
また、家庭教師の場合には、一対一の関係を築きやすいため、対人関係に不安がある場合にはおすすめです。信頼できる、あこがれのお兄さんやお姉さん的な存在に救われる子もいるかもしれません。
ただ、どちらも学習がメインとなるため、それ以外の時間に体を動かしたり、創造力を活かした創作活動をしたり、工夫が必要だと思います。
子どもが学ぶ場所④ 適応指導教室
それぞれの自治体によって、呼び名は変わるかもしれません。登校に不安があったり、登校できなかったりする子どもたちの通う場所として、適応指導教室があります。
大学生のボランティアや元校長先生などと一緒に遊んだり、個別に学習したりします。中には、ゲームや料理などができる場所もあるようです。
学校には通えないけれど、人とかかわりたい。という子には、通いやすいのではないかと思います。学校への復学などもスムーズにでき、適応指導教室への通学が出席数にカウントされるなど、学校との距離が近いところがメリットです。
逆に、学校への不信感が募っている場合などは、もしかしたら気持ち的に行きにくかったりもするのかなぁとも思います。
いろいろなお子さんが通っているので、そこでの交友関係で人とのかかわりを学ぶことができる反面、いろいろな子どもたちがいる場所が苦手な子には、少しハードルが高いかもしれません。
子どもが学ぶ場所⑤ フリースクール
学校に通う代わりに「フリースクール」へ通うという選択肢もあります。実際、私が開こうとしているのは、このフリースクールです。
自分がフリースクールを開こうと思い、いろいろ調べたところ、「フリースクールは学校ではない(学校法人ではない)」ということに驚きました。
また、フリースクールの方針はさまざまで、運営者も教員資格がないとダメみたいなものもありません。個人でも開けてしまうんですね。
学習の時間があるところもあれば、遊びを大事にしているところもあり、本当にいろいろです。受け入れている年齢も、これまたさまざま。小・中学生だけ、成人までOK、など、フリースクールの「フリー」とは、こういうことなのか!?と思ったり。
教育委員会が認めているフリースクールであれば、出席数にカウントされることもあります。
フリースクールのよさは、それぞれ特徴がはっきりしているので、お子さんに合った場所を探すことができる点。また、学校のような枠にきっちりはまることが苦手な子には、フリースクールのようなゆるさが心地よいこともあるかと思います。
いろいろな子どもたちが通ってくるものの学校ほどの規模でもない。また、多くのフリースクールが体験活動などを大切にしているので、勉強以外のことも学ぶことができると思います。
デメリットとしては、合わないとつらい。また、運営者やフリースクールの方針をしっかり吟味する必要があるということ。
簡単にいえば、誰でもフリースクールを作ることができてしまうわけです。大切なお子さんをあずける場所としてふさわしいのかどうか、しっかり見極める必要もあります。
子どもが学ぶ場所⑥ 習い事
「学習面は家でなんとかなりそう」というお子さんは、何か興味のあることを習ってみてもいいのではないでしょうか。ずっと、家にいる状況は、子どもの発達からしても、あまり好ましい状況ではありません。体を動かしたり、夢中になれるものを見つけたり、そういった時間をつくるのに、習い事はおすすめです。
また、家以外の場所で過ごす時間は、子どもにとって別世界。いつもとは違う自分になれたり、ちょっとドキドキしたり、わくわくしたり、心の成長にもよい影響を与えます。
習い事を通して、違う学年や学校の友だちができることも、よくあること。人とのかかわる機会にもつながります。
芸術系の習い事なら、自分を解放する時間になるし、運動系なら筋力や体幹を鍛え、気分転換にもなることでしょう。習い事という外からのよい刺激は、質の良い睡眠にもつながります。
学ぶというと「学習」をイメージしがちですが、習い事も立派な「学び」です。
子どもの学ぶ場所の課題とは…
代表的な子どもの学ぶ場所を紹介してきました。でも、これを読むとおわかりの通り、公立学校と適応指導教室以外は、費用がかかります。一部のフリースクールは無料で受け入れているところもありますが、数はとても少ないです。
子どもの教育支援が日本はまだまだ後回しになっていると感じます。
将来、子どもたちが社会をつくるのだから、もっと子どもに支援してほしい…と教員時代から感じていました。実際、学校現場は常に「お金がない」状況でした。「子どもにもっとこうしてあげたい!」と思っても、予算がおりないから我慢…という日々。(自治体によるのかもしれませんが…)
今は、フリースクールの準備を進める立場ですが、費用の面では、頭を抱えてしまいます。個人で運営するため、費用がかかってしまう。家庭への負担なく、フリースクールを運営できたらいいけれど、そういう制度もありません。
つまり、子どもたちの学ぶ場所はあるけれど、費用がかかってしまう現実がある。家計に余裕のある場合は、選択肢が増えるけれど、そうでない家庭は、結局公立学校か適応指導教室、または一部のフリースクールしかない。選べないわけです。
教育格差という言葉の通りです。
子どもたちが、自分の学びたい場所で学ぶことができる社会になってほしいと、心から願います。すべての子どもたちに、平等に学ぶ機会を!そんな世の中になればいいのに…
今日は、子どもの「学ぶ場所」について書きました。「学びの場所=学校」と思われがちですが、ちょっと視野を広げると、いろいろな学びの場はあります。もし、今、学校に行くことに不安を感じている子、行きたくないという選択をした子がいるのなら、学校以外の学びの場所を探してみませんか。
一人ひとり心地いいと感じる場所は違います。他の人が「いい」という場所が、必ずしも誰にとっても「いい」場所とは限らない。「学校に行かないから、ずっと家にいる」という選択もできます。でも、もし家にいることがつらくなっているなら、外に居場所を見つけてみるのはどうでしょう。
一人じゃないし、学校だけでもない! という気持ちになっていただけたら、うれしいです。