ついつい言いがちな言葉だけど、子どもに「ダメ」という前に気をつけたいこと

子育て
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子どもとかかわっていると、どうしても「ダメ」と言いたくなることがあるのではないでしょうか。

走って道にとびだそうとしたとき

人にぶつかりそうになったとき

「やりたい」っていうけれど、絶対失敗しそうなとき

友だちが持っているものを欲しがるとき

宿題をしないで遊びに行きそうなとき

おそらく、もっともっとたくさん「待ってー!」と言いたくなることがあるかと思います。そんなとき、みなさんは、どう声をかけますか?

私は、教員だったころから、一貫していることがあります。それは「命にかかわるときは大きな声で止める」ということ。これは「ダメ」ということも含まれます。「危ない!」「やめなさい!」「ダメー!」ということなど、その場に応じて言葉は変わるかもしれませんが、どんな言葉を使っても、止めなくてはいけない緊急時に使う言葉としています。

では、それ以外は…?「ダメ」といいたくなることがあっても、できる限り、子どもに考えさせるようにしています。これは、自分の子育てでも同じです。

今日は、「ダメ」という前に、子どもにかけている言葉や会話をちょっとだけシェアできればと思います。お子さんの性格や年齢、環境によって、同じ言葉かけが同じ効果をもたらすとは言いきれませんが、「ダメ」よりもはるかに効果があることは確かです。

「何度言っても、子どもに響かない」「ダメダメばかり言っていて、自分が嫌になる」「うまく子どもとコミュニケーションがとれていない気がする…」という悩んでいる方がいらっしゃったら、参考にしていただければうれしいです。

子どもに「ダメ」という前に…① 「どう思う?」と聞く

たとえば、学校に学習とは関係のないものを、持っていきたがっている子どもがいるとします。

子 「これ、学校に持って行っていい?」

親 「学校に持って行っても、いいと思う?」

子どもの考えを尋ねます。このあと、考えられることは、①「持って行ってはダメだと思う」と答える場合、②「持って行ってもいいと思う」と答える場合です。

それぞれに、なぜそう思うのか、理由を尋ねます。子どもがどう思っているのか、その考えや気持ちをとにかく共有します。

「持って行ってはダメ」と答える子の多くは、学校のルールやそれを持っていくとどうなるかを想像して理由を話すことでしょう。ある程度、自分で判断できる力がついていることがわかります。ただ、心の中には「持っていきたいなぁ」という思いがあることを、受け止めてあげるといいですね。

「持って行ってもいい」と答える子の多くは、判断基準が「みんな」または「仲のよい友だち」の行動にあることがわかります。「みんなが持って行っているからいいのだろう」という考えのもと、行動することが多いのでしょう。

ただ、親に聞くということは「本当は、ダメなのかもしれない」という気持ちを持ち合わせていることもわかります。その「本当は…」という気持ちを大切にしてあげることで、子どもの判断力が育っていきます。

子どもに「ダメ」という前に…② 親の考えを伝える

子どもから、子ども自身の考えを聞いたあと、「ダメ」や「いい」という答えを伝えるのではなく、親の考えを伝えるようにします。

子どもの考えを否定するのではなく、「そう思うんだね」「そうやって考えているんだね」とまずは気持ちを受け止める。その上で、「でもね、お母さんはこう思うよ」など、親の考えをわかりやすく伝えます。このとき、できれば、その理由を具体的に伝えられるといいと思います。

たとえば、さきほどの学校への持ち物の場合だったら、

「でもね、お母さんは、持っていかない方がいいんじゃないかなぁって思うよ。それはね、お母さんが小学生のときにね、内緒で学校に持って行っちゃいけないものを持っていたことがあるんだけど…。知らない間になくなってしまって、すごく悲しい気持ちになったことがあったんだ。…」

などのように、具体的な経験談は、子どもの心に響きます。また、親しい大人の失敗談は、なぜか子どもは好きです。真剣にきくことが多いので、自分の失敗談はぜひ子どもの学びにしてあげてください。

子どもに「ダメ」という前に…③ 子どもに決めさせる

できるのであれば、最終的に、決断するのは「子ども」が理想です。ただ、内容によっては、なんとしてでも阻止したいことがあるかもしれないので、一概には言えませんが…。多少失敗しても大丈夫なことだったら、子どもに決断させます。

その結果がどうであれ、自分で出した結論がうまくいっても、いかなくても、子どもはそこから学びます。うまくいけば、「これでよかったんだ」と自信になり、自分の判断力に磨きがかかっていきます。逆に「あぁ、失敗だった。こうしなければよかった」という結果になっても、その失敗から、次につなげていくことができます。

どちらも学びにつながるのは、自分で判断し、行動した結果だからです。

もし、大人が一方的に「ダメ」と言い切ってしまったら、子どもはそれに従うか、逆らうかです。従えば、大人のいうことを聞いていればいいと考えるようになるかもしれないし、自分で判断する機会が減っていきます。物事を決めるとき、行動するときに、常に大人に確認しないと不安になったり、一歩が踏み出せなくなってしまうことも、考えられます。

逆に、逆らうようになれば、大人がいうことには内容問わず逆らうようになったり、適切な判断ができずに友だちや周囲に流されたりしやすくなるかもしれません。

大切なことは、「ダメ」か「いい」かではないということです。「なぜダメなのか」「なぜいいのか」をしっかり納得しているかどうかが、大切です。納得した上で、どちらを選ぶのか、子どもに意思決定させてみる。

そして、大事なことは、失敗したときに「ほら、言ったでしょ!お母さんのいう通りにしておけばよかったのに…」などとは言わないことです。言いたくなる気持ちはわかりますが、うんとこらえましょう!

自分で決断して失敗したことを次につなげればいいだけであって、それをあれこれ言われては、信頼関係にはつながりません。

【まとめ】子どもは、対等が好き!時には、信じて「決断」をゆだねてみよう

長年、子どもたちとかかわってきて感じることのひとつに「子どもは対等が好き」ということがあります。どんなに子どもでも頼りにされるとうれしいし、対等に扱ってもらえるとぐんっと力を発揮したりします。

子育て・教育のゴールは「自立・自律」です。自分で判断し、行動していくことができるように、子どものうちから、「自分で決める」経験をしておく。そして、失敗をたくさんしておくことが、大事ではないかと思います。

担任をしていたころ、教室で交通安全の話をしたときのこと。「道路は左右確認する」と言っていた子どもたちが、「さようなら~」と道に飛び出して帰る様子を見て、まったく響いていないと感じたことがありました。

翌日、実際に交通事故にあった話を改めてすると、子どもたちの顔は一気に真剣になり、自分事としてとらえることができたようでした。それ以来、走って飛び出す子をお互いに注意し合うようになり、そのうち走って帰る子はいなくなりました。

子どもたちには、学ぶ力があります。そして、すごいスピードで変化する力もあります。「心に響けば行動にうつせる」子どもの柔軟性、行動力には、驚かされます。

子どもだから判断を誤ることもあるでしょう。でも、子どもが判断して、たとえ失敗しても、命にかかわらないのであれば、できるだけ子どもに決断させてみてはどうでしょうか。

実際に、今まで出会った子どもたちは、たった1年間でも自分たちで考える力がつきました。また、娘も、少しずつですが…失敗を繰り返しながら、自分で判断する力がついてきたように感じます。

「ダメ」というのは簡単です。でも、「ダメ」と言ってしまったら、子どもは考える機会、自分で判断するチャンスを逃してしまうかもしれない…。心に余裕があるときに、ちょっと思い出していただけたらうれしいです。

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