夏休み前から登校していない子、夏休み明けに登校渋りになりそうな子…いませんか?
もし思い浮かぶ子が一人でもいたら、ぜひ読んでいただきたい!
そんな先生方のために、「担任としてできること」を今日はお伝えしていきます。ポイントは「担任として」ということ。実は、担任だけではできないこともあるんです。どんなことが担任ができて、どんなことは他の先生の力をかりた方がいいのか、そのあたりも具体的にお伝えしてきたいと思います。
残りの夏休み期間をつかって、ぜひ準備をしてみてくださいね。
これを読んで、不登校に対する理解が深まりますように…
不登校の子がいたら…担任としてやるべきこと① こまめに連絡を
長期休業に入ったら、少し連絡の間隔はあくかもしれませんが、夏休みが明ける一週間くらい前を目安に、一度連絡をとりましょう。夏休みをどのように過ごしているのか、困ったことや変化などはないか、など、本人と話さなくても、保護者の方の話を聴くだけでも違います。
もし、この時点で、登校に不安を感じているようだったら(本人が登校を希望している場合)、夏休み中に一度学校に来てみないか提案するのもいいと思います。実際、長期休業後は、少なからずどの子どもたちも不安を感じています。わくわく感よりも心配が募る子には、夏休み中に、学校まで散歩してみたり、学校に担任がいる日に顔合わせをしたりするだけで、ずいぶん不安が軽減します。
学校がはじまってからは、先生たちも日々の忙しさでなかなか連絡がとれないということもあるかもしれません。でも、まったく連絡をとらないというのはNG!保護者の中には「忘れられているのかな」「うちの子は大事にしてもらえていない」など感じられる方も多いです。
さすがに「毎日連絡はちょっと…」という場合には、どのくらいの頻度の連絡が負担にならないのかを保護者と相談してみるのもありかと思います。「必ず連絡します」というよりも、「だいたい一週間に一回くらいで連絡をいれてもいいですか」と幅をもたせておくほうが、お互いに負担が少ないかと思います。
また、学校側から連絡する以外にも、「何か変化があったり、困ったことがあったりしたら、いつでも連絡をしてください」と伝えておくことも大事です。保護者の方の中には「欠席連絡以外は連絡しにくい」という方もいらっしゃいます。「本当は先生と話したいことがあるのに、連絡しにくく先生からの連絡をひたすら待っている」という方も…。
臨機応変に対応できるようにしておくといいですね。
不登校の子がいたら…担任としてやるべきこと② 児童支援担当や他の先生たちと相談
不登校と一言でいっても、その原因や経緯は一人ひとりさまざまです。つまり「不登校対応」というのは、ひとつではなく、個々によってまったく違うものになります。どんなにベテランの先生でも、今まで不登校の子どもたちを担任してきた先生でも、それまでの方法が、目の前の子にとってプラスになるとは限らないのです。
そこをしっかりと理解した上で、まずは担任一人で抱えこまない体制をつくる必要があります。
今の学校現場は、そうとうギリギリの状況のはず。自分のクラスのことは、自分一人でなんとかしなければ…!そんなふうに考えている先生方もいるかもしれません。
ところで、自分一人でなんとかなることと、自分一人で対応すべきではないことがあることを知っていますか?
不登校のお子さんに関することは、複数で対応する!これが、とても重要です。その理由は、またいずれくわしくお伝えしたいと思いますが、複数で対応した方が子どもにとっても、保護者にとっても、そして、担任自身にとってもプラスになることが多いからです。
まずは、各学校にいる児童支援担当の先生に相談する時間を作りましょう。もちろん、学年会などで、日ごろから困ったことなどを相談できる関係を学年でつくっておくことも大切です。
支援会議など、学校でしっかりとした支援体制を整えることが先決ですが、もしまだ体制ができていないようでしたら、まずは身近な学年から体制をつくっていきましょう。
不登校の子がいたら…担任としてやるべきこと③ 保護者との関係を築き方
保護者との関係を築くことは、簡単なことではありません。まして、それまでの不登校になった経緯や対応から、保護者の方が学校に対して不信感をもっている場合は、なおさらです。
それでも、ここで「それなら、こちらから働きかけるのはやめておこう」と一線を引くのではなく、関係を築くことに重きを置いてほしい…と思います。それが、子どものためになるからです。
保護者との関係は、子どもとの関係に大きな影響を与えます。保護者が「この先生なら信頼できる」と思えば、担任の働きかけに対する協力の仕方も変わってきます。
また、不登校のお子さんの中には、「先生に会いたくない」ということもあるかと思います。そんなときには、子どもとの窓口役として、保護者の存在がとても大きくなるわけです。
では、どうやって関係を築いていけばいいのか。これも、一概には言えないのですが、大切なことは「誠実に対応する」ということ。話を最後までしっかり聴く姿勢、こまめに連絡をとる姿勢、自分の言葉に責任をもつ姿勢、そういったことの積み重ねで、保護者の方は心を開き、本音を語るようになります。
ただ、もし保護者対応に自信がもてないようでしたら、保護者対応を他の先生にお願いするという方法もあります。担任だから、保護者対応はすべて自分がしなくては…!ということはありません。
不登校の子がいたら…担任としてやるべきこと④ 子どもとの関係を築き方
子どもとの関係を築く…学校に来ていないのだから、築けないのではないか?と思った方、そんなことはありません。学校に来ていなくても、ちょっと工夫すれば、子どもとの関係を築くことができます。
ただ、その前に、しっかり確認しておきたいことは、「その子が今の担任に対して、どんな気持ちを抱いているか」ということ。不登校の中には、担任との関係がうまくいかなかったり、担任の言動に深く傷ついたりしたことが原因のこともあります。
もし、自分とかかわりがあることがきっかけで、学校に足が向かないのであれば、そこをクリアにしない限り、子どもとの良好な関係は築くことができません。
「今の担任と会いたい、話したい」と思っている状況であれば、ぜひその子との関係を大切にしてほしいと思います。それは、先生から気にかけてもらったり、仲よくなったりすることは、うれしいと感じる子が多いからです。
学校に来ていなくても、交換ノートをしたり、放課後登校したり、家庭訪問したり…、接点をつくることはできます。多忙な中での対応になるので、これもできれば、担任一人で行うのではなく、児童支援担当の先生や養護教諭、学年の先生たちなどとチームを組んで、役割分担できるのが理想です。(実際、そのように対応している学校もあります)
不登校の子がいたら…担任としてやるべきこと⑤ 登校がゴールではない
先生という職業上、どうしても学校に来てほしいという思いはあるでしょう。学校に来てくれたらできることがたくさんあるのに…と感じている先生も多いと思います。
そうなると、どうしても「ゴールは登校」になりがち。ただ、ここにこだわってしまうのは、ときに子どもを苦しめることになってしまいます。
担任としてやるべきことは、登校させることではありません。その子の今に寄り添うこと、今できるサポートをすることです。
もちろん、本人が学校への登校をのぞんでいるのであれば、登校できるよう環境を整え、登校できるようサポート体制をつくり、少しずつ学校に足が向くようになり、楽しく通うことができるようになれば、その子の今に寄り添ったことになります。
でも、本人の気持ちが整っていないのに、まわりの大人が急ぎすぎてしまう事例を今までに何度も見てきました。急がずに、見守ること。一進一退しても、一喜一憂しないこと。その子の今必要なサポートに目を向けること。
その結果、登校するかもしれないし、そうでないかもしれない。
結果にとわられて急ぐよりも、その子の「今」必要なサポートを積み重ねることが大事だと考えます。
【まとめ】登校していてもしていなくても、大事な存在であることを忘れない!
1クラス30人、40人近い子どもたちと一緒に過ごしていると、本当に大変なこともたくさんあります。
日々、トラブルに追われている先生もいることでしょう。保護者対応に悩んでいる先生もいるかもしれません。目の前にいる子どもたちの対応で手一杯、不登校の子が気になってはいるものの、どうしても対応が遅れてしまう…そんなもどかしさを感じている先生もいるのではないでしょうか。
担任としてその子とかかわることができるのは、一生にたった1年間。長い教員生活を考えれば、たった1年ですが、その子にとっては二度と巻き戻すことができない大切な1年間です。
どんなに忙しくても、このことを忘れないこと。これが、本当は一番大切なのかもしれません。それは、担任の思いや考えは、ちょっとした言動からしっかり子どもにも親にも伝わってしまうからです。
「大切に思っているよ」「なかなか対応できなくて申し訳ない」「できることがあったら力になりたい」
そういう担任の思いは、たった5分間の電話でも、欠席連絡の返信メッセージでも、プリントを届けた一瞬でも、伝わるものです。
先生の大変さは、身をもって理解しています。でも、みんな大変だから、他の先生に迷惑をかけたくない…そんなふうに考えている先生がもしいたとしたら、それは大間違いです。
大変だからこそ、助け合う。担任だから…と一人で抱え込まずに、みんなが困っていることをシェアでき、みんなで協力して対応していくことができる職場であれば、もう少し働きやすい環境になるのではないでしょうか。
不登校の子も親も悩んでいます。「学校に来ないから…」ではなく、学校に来ないその子のためのサポートをぜひ学校全体で考えてほしい!と心から願います。