小学生の時期だからこそ「フリースクール」が必要なわけ~大事にしたい5つのこと~

フリースクール
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自分が小学校の教員だったころは「フリースクール」に対して、正直詳しく調べたことはありませんでした。不登校の子どもたちを受け持つこともありましたが、その多くが、フリースクールには通っていなかったということも、あるのかもしれません。

でも、実際に、自分が「フリースクール」を運営する側になり、フリースクールの歴史や役割、いろいろなフリースクールのことを調べるにつれ、改めて「フリースクール」の重要性を実感するようになりました。

小学校6年間、子どもたちは大きく成長します。生まれてから小学校にあがるまでの6年間も、すさまじい成長をとげますが、小学校の6年間は体と一緒に心も大きく成長する時期です。この小学生の6年間をどう過ごすかが、子どもたちの根っこをつくるといっても、過言ではありません。

それだけ小学生の6年間の時期は、大事です。もちろん、それは、学校にいっているかどうかが重要なのではありません。学校に行くか行かないかということよりも、子どもにとってどのような時間を過ごすかが大事なのだと考えます。

どのような時間を過ごすか…という視点でみると、フリースクールの重要性が見えてきます。今日は、小学生の時期に「フリースクール」が必要なわけを、大きく5つご紹介します。

フリースクールでなく、ホームスクールでも、これからご紹介することを実践すれば、子どもたちの成長にプラスになる時間が過ごせることでしょう。

もし、今、フリースクールに行くかどうかで悩んでいる方がいたら、ぜひスクール選びの参考にしていただけたらと思います。

① 適度に体を動かす大切さ

小学生時期、子どもたちは体を動かしながら、体をつくっていきます。もちろん、栄養をバランスよくとったり、睡眠をしっかりとったりすることも大切です。でも、この「体を動かす」ということは、小学生時期ならではなのではないかと思います。

「最近の子どもたちは、転び方があまり上手ではない」ということを聞いたことがありますか。

体のバランスがうまくとれない子や、転んだ時に手が出ずに顔を打ってしまう子、遊具で突然手を離してしまう子など、体を動かす遊びや経験が少ない様子が見られます。

適度に体を動かすこと、遊びを通して体のあちこちの筋肉を鍛えることで、バランスがよくなり、転ぶのが上手になっていきます。

不登校になると、どうしても外で思い切り体を動かすことが少なくなるのではないでしょうか。近くの公園には行きにくい…という子もいるかもしれません。

フリースクールによっては、広い場所で思い切り体を動かすことができる場所もあります。また、フリースクールの仲間たちと一緒に、体を動かして遊ぶことで、自然と適度が運動ができる。

小学生時期の子どもたちは、エネルギーにあふれています。思いっきり体を動かし発散することで、心のバランスをとれるようになる子もいます。

小学生時期の子どもたちにとって、この「適度に体を動かす」ということは、けっこう重要です。

② 人とのかかわり方を学ぶ時期

人とのかかわり方を学ぶ大事な時期でもある、小学生。小学校に入るまでは、家族や園の先生、ごく身近な友だちとのかかわり合いを学ぶ時期でした。

それが、小学生になると、一気にかかわる人の数が増えます。それが、逆につらくなってしまう子もいるかもしれません。

でも、少しずつかかわる人が増えてくると、子どもたちは、人と自分について学んでいきます。人と自分は違うということ、いろいろな人間がいるということ、年上や年下との関係なども、少しずつ学んでいく時期です。

ただ、不登校になってしまったという子の中には、学校の人間関係が原因だという子もいると思います。その場合には、焦らずに、まずは安心できる家庭の中で、ゆっくりと休むことが大切。

そこから、少しずつ心地よいかかわりができる人を探していくといいでしょう。

逆に、人とのかかわりを望んでいる子どもたちには、自分の居場所を見つけ、人とのかかわり方を学ぶことができるフリースクールはおすすめです。

フリースクールに通ってみると「自分だけではなかった」という安心感が得られる子も多くいるようです。

③ 自分の世界をどんどん広げる探求心を育てる

小学校低学年に将来の夢を聞くと、なれるかなれないかは別として、本当に自由に答えます。それが、中学生や高校生になるとどうでしょう。だんだん現実的な回答になっていきますね…。

小学生の子どもたちは大きな可能性を秘めています。自分のことを過小評価することもなく、自分のやりたいことや好きをどんどん見つけていく大切な時期。

小学校で1年生から6年生まで担任をしていましたが、その成長や変化はとても興味深いものでした。低学年の時期は、まだ自分の近くのものにしか視線が向きません。それが、学習や体験活動を通して、少しずつ世界が広がっていく。

中学年になると、身の回りのこと、住んでいる地域のことにも目が向いていきます。生活にかかせないことや、標識や福祉について興味をもちはじめるのも、この時期です。

高学年になると、自分たちの生活を支えている人々やものの動き、世界にも目が向けられていきます。歴史に興味をもったり、日本と世界の違いに気づいたりします。

自分の知らないことを知り、さらに興味をもって調べたり、考えたりしてみる。

これが小学生時期の子どもたちの大きな学びや経験になります。

「不思議だな」と思うことを調べてみたり、「すごいなぁ」と思うことを広めてみたり、子どもたちの探求心を育てる、とても大切な時期なのです。

ホームスクールにしても、フリースクールにしても、そんなふうに子どもたちの探求心を大切にできたら、子どもはどんどん自ら成長していきます。

④ 心の根っこをつくるための信頼関係

小学生の時期に学んでおきたいこと、どんなことがあるでしょう。

善悪の判断をつけられるように… 基本的な生活習慣をつけてほしい…

自分の考えを伝えられるようになるといいな…

おそらく、みなさんいろいろな思いをもっていることでしょう。

その根底になるのが「信頼関係」ではないかと考えます。親子の信頼関係、学校の先生との信頼関係、友だちとの信頼関係、身近な大人との信頼関係。

子どもの心の根っこを育てるのは、この「信頼関係」だと思っています。小学生の時期に、安心できる「信頼関係」を築く。たくさんの人と築く必要はありません。

たった一人でも、その子にとって信頼できる存在があるかどうか。それだけで、子どもたちの心は安定します。もし、信頼できる相手が何人かいれば、子どもたちの心の根っこは、安心して伸びていきます。

「自分は大丈夫」「自分を信じていくれる人がいる」その安心感は、一歩を踏み出すことができる子、ゆっくり自分を見つめることができる子、自分を大切にすることができる子…を育てていくのではないでしょうか。

フリースクールで出会ったスタッフやボランティア、仲間とのかかわりで、自分をとりもどすことができたという話をよく聞きます。フリースクールにかかわらず、子どもたちとの信頼関係を築くことができる相手がいれば、子どもは、心の根をはることができることでしょう。

⑤ 自立へ向けた学習支援

学習については、悩まれる方も多くいるのではないでしょうか。小学生時期の学習のすべてを身につけなくてはいけない…と思うと、心配になる方もいらっしゃることでしょう。

これは、あくまで個人的な考えですが、もし学習に気持ちが向かなかったり、学習の遅れが気になったりしている場合には、小学校で学習する内容をピックアップして取り組んでみる。

具体的には、読むこと、ひらがなや日常的によく使う漢字を書くこと、たし算、ひき算、かけ算などの計算を中心にピックアップして学習してみてはどうでしょうか。

この基準は、大人になって実際に使うものかどうか。

書類を読む、書く、日常生活で使う計算などは、身につけておいた方がよいもの。だから、まずはそこにポイントをしぼって取り組んでみる。子どもにとっても負担が少なく、親にとってもハードルがそんなに高くない。学校では一斉授業のため、なかなか個別に学習することはむずかしいですが、ホームスクールやフリースクールなら個別学習が可能です。

お子さんの将来を想像しながら、できる範囲のことをはじめてみるとよいのではないでしょうか。

以前、受け持った不登校のお子さんの中に、学習にはまったく興味がなく、鉛筆で文字を書くこともむずかしいという子がいました。

でも、生き物や乗り物にはものすごく関心が高い。そこで、生き物を使って数を数えたり、生き物を観察したことを書いたりすることを提案。すると、今までまったく書こうとしなかった文字に興味をもつようになりました。

子どもたちにとって、必要性が感じられないものは、なかなか取り掛からないということが、よくあります。子どもの興味や関心のあるものを使うと、意外と取り組むことができたりします。

子どもたちの自立に向けた学習支援をしていくこと。これも、小学校時期に大切なことのひとつ。ただ、家で教えることがむずかしい…と感じる場合には、人の手をかりましょう!

【まとめ】小学生の時期だからこそ、できること!大切にしたいこと!

今日は、小学生の時期に大切にしたいことをお伝えしてきました。

フリースクールを活用できるのであれば、うまく活用していただきたい!という気持ちもあります。ただ、現状ではフリースクールに通学する費用は保護者負担、フリースクールの数が少ないなど、行きたいフリースクールに通うことがむずかしいということもあるのではないでしょうか。

フリースクールの数がもっと増え、費用の負担額が減れば、もっともっと自由にフリースクールに通うことができるようになるのに… なんとかならないものか、今後の課題です。

さて、今日お伝えした通り、小学生の時期だからこそ、大切にしたいことがあります! 不登校のお子さんを見守っている保護者の方の中には、孤独を感じている方も多いのではないでしょうか。

フリースクールとつながることで、仲間ができ、相談できる場所ができる。一緒に子どもの成長を見守ってくれる存在ができる。そんな支援がこれからは、もっともっと必要になってくると思います。

今、家で過ごしている子どもたちの居場所ができること。思いっきり走り回ったり、笑いあったりできること。自立に向けた学習を少しずつ自分のペースで進められること。仲間とのあたたかい信頼関係が築けること。

そこが、学校とは限らない! どこでもいいと思うんです。子どもたちにとって居心地のよい場所であれば!

子どもたちに、そして保護者の方々に、笑顔がもどりますように…

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