【学校の先生へ】クラスの子が不登校になった原因を探す前に…

不登校
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教員時代、不登校の子どもたちを毎年のように受け持ってきました。また、退職後は不登校の子をもつ保護者の方の声を聴く機会があります。

その中で気づいたこと、先生たちに知っていてほしいことをブログでもお伝えしています。

今日は「クラスの子が不登校になってしまったら…」というテーマでお伝えできればと思います。中には「不登校になったのは自分が原因かもしれない」と自信をなくしてしまう先生もいるようです。でも、そうとは限りません。

自分自身の力不足を嘆く前に「不登校の子どもたちのためにできること」があります。ぜひ、これを読んで、明日からの児童理解、支援に活かしてもらえたらと思います。

不登校の原因は本人もわからない場合がある

不登校の原因がはっきりしているお子さんもいます。逆に、お子さん自身は気づいていなくても、そばで見ている保護者の方が「おそらく、こういうことが原因だった」と推測できる場合もあります。

でも、不登校の原因がわからない場合もある。「これが原因だった」と大きな何かがなく、ある日突然学校に行くのがつらくなってしまう。または体が拒否反応を起こし、学校に行けなくなる場合があります。

先生たちの中には「不登校には原因があるはず」と思われている方もいるのではないでしょうか。もちろん、子どもたちの行動には必ず原因やきっかけ、理由があります。でも、それがはっきりしないこともある。今はわからなくても、あとから「あれが、原因だったのかも」とわかる場合もあります。

「不登校」にどう向き合うか。原因を突き止めるのではなく、行けない・行きたくない子どもたちの心や気持ちにまずは寄り添うことが大切だと考えます。子どもたち自身、行けない自分に戸惑っているかもしれません。保護者の方はなおさらです。子ども・親の不安や心配に寄り添う姿勢がとても大切だと思います。

不登校になったのは今でも、その前の過程がある

知り合いの先生が「今年受け持った子が不登校になってしまって…」と話してくれたことがあります。自分に原因があったのか、自分のクラス経営がよくなかったのか、その先生は心のどこかで自分にも責任があると思っていたようでした。

不登校になったのが「今」でも、もしかしたらその前兆は前の年、もっと前の年が続いていたのかもしれません。多くの子どもたちが、不登校になる前に無理して学校に通っていた時期があるといわれています。その時期が長ければ長いほど、不登校後回復するまでに時間がかかるとも…。

つまり、自分が受け持った年に不登校になった子がいたとしても、それは前の年やもっと前の年から無理して通っていた結果かもしれないのです。

「自分に責任がある」と自信を失うことはありません。大事なことは、目の前にいる子どもとしっかり向き合うこと。ただそれだけです。

不登校の原因追及より大切なこと

自分の指導や声かけに問題があったのではないか。そんなふうに自分自身を顧みることは大切です。事実、教師との関係に悩み、不登校になっている子どもたちがいるからです。

でも、おそらく、教師側が原因で不登校になっていることに気づいていない先生たちも意外と多い。そういう先生たちは、きっと不登校の子どもたちのために何ができるか、自分のどこが悪かったのか…など顧みる機会はないのではないかと思います。

こうやって、このブログを読んでいるような先生であれば、教師側に問題があって不登校になっている可能性は低いのではないでしょうか。(もちろん一概に言い切れませんが…)

熱心な先生ほど「原因を突き止めて対策を立てたい」と思うかもしれません。でも、不登校の子どもたちは、自分自身「なぜ不登校になったのか」分からないことも多い。それを根掘り葉掘り、質問されることは気持ちのいいものではありません。

むしろ、学校以外の話や何気ない日常会話を求めている子の方が多いように感じます。学校に行っていても行っていなくても、変わらない会話。変わらない対応。そういうものが子どもたちに安心感を与えてます。

子どもとの関係が築けない場合には親との関係を大切に

前の年から不登校の子を受け持つと、学年始めからまったく会ってもらえないことがあります。

学校にも行きたくないし、先生にも会いたくない。これは、個人的にその担任にうらみがあるわけではなく(担任の先生が持ち上がりの場合にはトラブルを抱えている場合もありますが)、ただ単に、学校や先生への拒否反応と考えるのが正しいです。

「自分が否定されたみたいで悲しい」若い先生などは、もしかしたらそんなふうに感じられるかもしれません。でも、だからといって、やみくもにこちらからアピールしたり、連絡をとったりするのはNG。

子どもが拒否反応を起こしている間は、そっと見守りましょう。ただ、「見守るって学校に来ていないとできない」と逆にまったく接点をもたないようにしてしまう先生もいるようです。実は、それもNG!

子ども自身は今の心理状態では拒否反応を示しているかもしれませんが、心が回復していけば少し変わってくることがあります。また、保護者の方を孤立させないためにも、子どもが無理なら親との関係はしっかりと築いていくことが大切です。

不登校というだけでも、保護者の方は大きな不安を抱えています。学校に原因があるなし関係なく、学校に行かない我が子とずっと向き合い、学校から切り離されてしまったら、本当に孤立してしまいます。

常に連絡を取り合い、相談し合えるような関係を築くことを忘れずに。

担任の力不足で不登校になるとは限らない

さきほども少し書きましたが、担任の力不足で不登校になるとは限りません。まじめで熱心な先生は、クラスの子どもが不登校になったという事実にショックを受けられる方もいるようです。

でも、不登校になったことは、その子にとって今必要な休息。もちろん、学校や先生に不登校の原因がある場合もあるので、その部分はしっかり振り返り反省しなくてはなりません。

ただ、これといって思い当たることがない場合もあります。「なぜだろう」「なにがいけなかったんだろう」と思い悩んでも、結局答えが見つからないこともあるんです。

思い悩んで自信をなくしてしまうのではなく、不登校になった子に何ができるのかを考える。先生たちの中には「不登校だった子が学校に来れるようになった」とうれしそうに語る人がいます。

もちろん、学校に楽しく通えるようになったのであれば、その子にとって学校が安心できる場になったのでしょう。でも、登校をゴールにしてしまうのは少し危険です。無理やり学校に来るように練習したり、急ぎ足で支援を進めてしまったりすると、ガクっと学校から足が遠のくこともあります。

「子どもを登校させる!」と意気込んでいる先生を見たことがありますが、だいたいが失敗に終わります。それよりも、子どものペースで支援を続けていくこと。誰のため? 先生のためではありません。すべては子どものためであってほしいと願います。

無理して登校に導くよりも、いまできる支援を考える

「登校しないとできる支援はありません」と言われた…とショックを受けているお母さんに会ったことがあります。それは間違っているとわたしは思います。

実際、教員だったころも、登校できない子には家庭訪問をしたり、ざわざわした学校が苦手な子は放課後登校してもらったり、できることがたくさんありました。

学校に来なくてもできる支援はあります。ただ、これを担任の先生一人が担うのはとても大変です。わたしも、当時たくさんの先生たちの力をかりながら、チームとして対応していました。だから、家庭訪問も放課後登校も、個々に合わせた対応ができたのだと思います。

担任の先生が一人で抱えることなく、学校全体として支援の方法を考える。その子にとって、今なにが必要なのか。どうつながることが保護者にとって安心なのか。それを考えることがとても大切です。

家庭任せにしないこと。家庭と学校がしっかり連携をとり、目の前の子どものためにできる支援をコツコツ続けることで、子どもたちの成長は促されます。学校が安心できない場なのであれば、家庭でも別の場所でもいい。できる支援を続けることが、なによりも大切だと考えます。

【まとめ】力不足と嘆く前にできることをコツコツと!

ひと昔前は「不登校は無理にでも学校に連れていった方がいい」という雰囲気でした。それが時代とともにずいぶんと変わり、今では「子どもが学校に来れないなら休ませた方がいい」とシフトしてきているように感じます。

休ませることは必要です。でも、「休ませる=家庭にお任せ」ではないはず。そこを誤解している先生が実はけっこう多くいるように感じます。

逆に「不登校の子を受け持ったら、登校まで導くぞ」とはりきってしまう先生も少なからずいらっしゃいます。

どちらにも共通しているのは、そこには子どもがいないということ。

子どもを真ん中において、その子のためになにができるかを考えること。それが不登校の子どもへの最初の支援です。そして、それを一人でやろうとしないこと。

ワンマンはうまくいきません。一人の人間ができることには限りがある。多忙と言われ続けている激務の中で、クラスの他の子どもたちの対応もある中で、自分ひとりでできることには限界があります。

ぜひ学校全体で、他の先生たちの力をかりて、できることを話し合ってみてください。自分だけで背負わないで、自分だけでどうにかしようと思わないこと。それが、結果、子どものためになります。

もし近くに相談できる人がいなくて悩んでいるようでしたら、お問い合わせからご相談ください。現在、不登校の子どもたちや保護者の方からの無料相談を受けているので、先生方からの相談もできる範囲でお応えしたいと思います。

目の前にいる子どもたちに、笑顔が戻りますように…

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