「不登校 本」と検索すると、本当にたくさんの本が表示されます。
わたし自身もその数の多さに圧倒されました。
「どの本がいいのかわからない」
「レビューがよくても、実際にはどうなんだろう」
と迷われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実際に何冊も購入して読んだものの「購入するほどじゃなかったな」というものや「う~ん、読まなくてもよかったかな」と思うものまで、さまざまな本にであってきました。
その中で「これはおすすめ!」という一冊を今日はご紹介したいと思います。
今、お子さんが学校に不安をもっている方、登校できずに苦しんでいる方、不登校期間が続き不安に感じている方、クラスに不登校ぎみの子がいる先生、この本で少し目の前にいる子どもたちのことがわかるようになるかもしれません。参考にしていただけたらうれしいです。
おすすめの本とは「不登校でも子は育つ ~母親たち10年の証明~」
「親子支援ネットワーク♪あんだんて♪」の「不登校でも子は育つ ~母親たち10年の証明~」という本です。
実際に不登校の子をもつお母さんたち9人が集まりはじまった不登校支援活動、その10年の経験をもとに書かれた一冊です。
「目に見えない「何か」を信じて子どもの育ちを見守ることは、一人ではとっても難しい。でも、子どもの内面の小さな成長を誰かが見つけて教えてくれたら、苦しんでいるお母さんも安心できる
「不登校でも子は育つ ~母親たち10年の証明~」学びリンク より
わたしがこの本を読んだのは、フリースクールを開室しようと思う前のことでした。この本をきっかけに、フリースクールの必要性を感じ始めたといえます。子どもが苦しんでいることはわかっていましたが、この本で親も苦しんでいるということを改めて実感しました。
そして、フリースクールという場があることで、子どもの成長を見つけ保護者の方と共有することで、少しでも安心してもらえたら…という想いが芽生えました。
では、この本のどんなところがおすすめなのかを、これからお伝えしていきますね。
おすすめポイント① とにかくあたたかい
本を読むと、書いている人の人柄が文章にあらわれることがあります。この「不登校でも子は育つ」は、はじめから終わりまで、あたたかさであふれています。
「大丈夫」「みんな通ってきた道だから」
そんなメッセージを常に感じることができます。それは、これを書いている方々が、不登校という経験をされてきたお母さんたちだからだと思います。読者と同じ視点で、あたたかく励ますような雰囲気は、読んでいるだけでも心がほっとします。
おすすめポイント② 子どもの行動には意味がある
不登校になるとみられる子どもたちの行動、そのひとつひとつにはしっかりと意味があることがわかります。不登校の3大特徴ともいわれる「昼夜逆転」「ゲーム」「生活習慣の乱れ」も意味があります。
また、家族との関係などにも触れられています。同居の家族にかかわらず、祖父母との関係にもどのように対応すればいいのかも具体的に書かれています。学校の先生とのかかわり、友だちとのかかわりについてもわかりやすくアドバイスされてます。
経験にもとづいたアドバイスだからこそ、的を得ているのだと思います。
不登校の本の中には、不登校の子をもつお母さんが書かれている体験談のような本もありますね。ただ、その場合、その子にとってはよい方法だったことが、他の子には合わないということもあり得る。
一方「不登校でも子は育つ」は10年間で出会ったたくさんの子どもたちの経験をもとに書かれているので、とても説得力があります。
おすすめポイント③ 子どもたちの生の声がわかる
この本の特長に、子どもたちの生の声が紹介されていることがあげられます。実際不登校中にはなかなか自分の気持ちを伝えられなかったり、整理できなかったりしますが、それを乗り越えた子どもたちの生の声だからこそ、ダイレクトに伝わります。
「こうしてくれてうれしかった」「こんなふうに言われたのがつらかった」という生の声をきくことで、今子どもたちが不登校中にどのように感じているのかを理解しやすくなるかと思います。
おすすめポイント④ データとしても参考になる
第2章では「不登校から元気回復までの段階」として、回復段階に合わせた支援方法を説明しています。これは、とてもわかりやすく、学校の先生たちの研修にぜひ使ってもらいたいと思うほどです。
今、その子はどの段階にいるのか…それがわかれば、支援の方法が変わってきます。その支援方法もひとつではなく、「こういう場合は…」と具体的な例がたくさんあげられているので、その中でお子さんに合った方法を選択することができるのではないかと思います。
学校の先生の場合にも、保健室や別室登校の仕方や家庭訪問の仕方など、参考になる点があるはずです。
おすすめポイント⑤ 不登校後の道筋が見える
「不登校になると社会性が育たないのではないか」と不安になる方もいるかと思いますが、この本を読むと「なるほど、大丈夫」と思えます。それは、実際に不登校を経験した子どもたちが大人になり、しっかりと自立していることがわかるからです。
それも、一人や二人ではなく、みんな、自分自身の経験をもとに新しい一歩を踏み出していることがわかります。
今目の前にいるお子さんだけを見ていると、不安や心配で心がいっぱいになることがあるかもしれません。でも、この本を読むことで、「この先にどんな未来が待っているのか」を具体的に思い描くことができるようになります。
そのために、今なにができるのか、今なにをしたらいいのか、そんな風に「今」を大切に思えるようになるのではないでしょうか。
【まとめ】不登校中の子どもたちとかかわるすべての方へ…
学校と距離があいてしまうことで、どうしても孤独を感じることがあるはずです。それは、子どもも親も同じ。そして、それを残念ながらサポートする機関は、日本ではまだしっかり作られていません。学校の先生とのかかわりで、登校するきっかけができた子もいれば、学校の先生の対応で心が折れてしまった子もいます。
不登校ということ自体、けっして悪いことではありません。でも、「ダメなこと」と感じている子がどれだけ多くいることでしょう。
不登校中の親子が孤独にならないよう、できることがあるはずです。学校でもできることがもっとあるはずです。
不登校支援がすすむことを心から願っています。わたしも、わたしができること、できる方法を探しながらコツコツと動いていきたいと思っています。
もしこれを読んでいる学校の先生がいらっしゃったら、ぜひ校内研修などでご活用ください。
この本で、一人でも多くのお母さんの心が、ちょっとでも軽くなることを心から願っています。